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MDアンダーソン発表、ASCO2016 婦人科がん治療の進歩

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さらなる検証で臨床診療を変える可能性

MDアンダーソンがんセンターニュースリリース
原文掲載日:2016年6月5日

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの婦人腫瘍および生殖医学科の研究者が、2016年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で、婦人科がんの標準治療に変化をもたらす進展について発表。

 

進行性および再発性の子宮体がんに対し、分子標的薬であるエベロリムスとレトロゾールの併用療法に、糖尿病治療薬のメトフォルミンを加えることは臨床的上有益である

 

過去に治療を受けて再発した類内膜腺がん(EEC)の患者に対し、エベロリスムとレトロゾールを組み合わせた分子標的抗がん剤治療に糖尿病治療薬メトフォルミンを追加することによる臨床的有用性(clinical benefit rate)は67%であった。

 

MDアンダーソンの研究者は、再発性のEEC患者の治療で、エベロリムスとレトロゾールを組み合わせた過去の研究結果が有望だったことをふまえ、患者58人を第2相前向き試験に登録した。一般的に再発EECは、現在の標準治療である化学療法の奏効率が低い(10-20パーセント)。本試験は前臨床データおよび過去の臨床試験からメトフォルミンが、分子標的薬の奏効率を高める可能性が示されたことに基づいている。

 

今日までで、この3剤を組み合わせた治療法で48人の患者を評価したところ、部分奏効または完全奏効、あるいは安定(腫瘍の大きさが変らない)という臨床的有用性を示した割合は66.7%だった。28日サイクルで中央投与サイクル数が6サイクルであり(病気が進行するか、容認できない有害事象が出なければ、8週ごとに腫瘍縮小評価)、現在までに示された最良の奏効率は、部分奏効が29%、安定が38%だった。現在までで、患者の一人は完全奏効を示した。

 

「さまざまな部位の病変において、メトフォルミンが分子レベルで実際にどのように作用するのかをより深く理解するためには、さらに研究する必要があるものの、メトフォルミンががん治療に利益を与える可能性を示す研究は、本研究を含めて増え続けている」と、本研究の試験責任医師であり、婦人腫瘍および生殖医学科准教授のPamela Soliman医師は述べた。今後とも、現在は生存率が低いこうした患者の予後改善に向け、可能性のある薬剤の組み合わせについて引き続き研究を続ける。

 

Soliman医師は、これらの研究結果を7月5日(日)、婦人科がんの口頭演題セッションで発表する。(中部時間午前9時45分から午後12:45分)

 

ホルモン維持療法が化学療法に抵抗性を示す低悪性度の漿液性卵巣がん、腹膜がんの生存を改善する可能性

 

上皮性卵巣がんのまれなサブタイプである低悪性度の漿液性卵巣がん(LGSC)の患者は、ホルモン維持療法で生存が大幅に改善される可能性がある。

 

この後ろ向きコホート研究では、1981年から2013年までにMDアンダーソンで治療を受けたステージ2からステージ4のLGSC患者204人のデータを分析し、手術と化学療法後に経過観察された患者との比較で、ホルモン療法の効果を評価した。ホルモン療法を受けた患者(70人)の無増悪生存期間(PFS)は平均で64.9カ月(5.4年)だったが、経過観察群の患者(134人)は27.3カ月(2.2年)だった。HMTを受けた患者の全生存は115.7カ月(9.6年)だったのに対し、経過観察群は98.8カ月(8.2年)だった。さらに、以下の結果が明らかになった。

 

• ホルモン療法を受けた群では患者の40%はがんが再発しなかったが、経過観察群で再発しなかったのは12%だった。

• 化学療法後に完全寛解した148人については、ホルモン療法はさらなる生存延長に寄与しているようである。PFSではホルモン療法群の81.8カ月に対し経過観察群は29.9カ月(6.7年対2.5年)、全生存でホルモン療法群が191.3カ月なのに対し、経過観察群は106.8カ月(16年対9年)だった。

 

「ホルモン療法は、がん再発の低下に有望な試験結果を示しており、ホルモン療法を初回治療に取り入れることへの関心が高まっている」と、本研究の試験責任医師であり、婦人腫瘍および生殖医学科教授のDavid Gershenson医師は述べた。「今後の臨床での研究で、ホルモン療法がこのタイプのがんの再発を予防、あるいは遅らせることができるという結果が示されれば、治療方法の変更にもつながるでしょう」

 

LGSCは卵巣/腹膜の腺がんのうち10%でしかない。一般的には40歳代など若年女性がLGSCの診断を受け(ただし10代、20代の女性が診断を受ける場合もある)、患者はがんが進行している状態であることが多い。このがんに対する標準治療には化学療法が含まれるが、高悪性度の腺がんと比べると、化学療法に抵抗性を示す傾向にある。約70%の患者がある時点で再発を経験すると、Gershenson医師は述べた。

 

まれながんであることから、試験登録者の確保は容易ではないが、さらなる研究として前向きの臨床試験を計画すべきだとGershenson医師は話した。

 

Gershenson医師は、これらの試験結果を6月5日(日)、婦人科がんの口頭演題セッションで発表する(中部時間午前9:45から午後12:45)

 

予防的卵管切除の後に卵巣切除を追加する方法(PSDO)が、BRCA変異を持つ女性の性機能を保存し、若年性更年期を予防する可能性

 

BRCAに関連する卵巣がんの発生部位は卵管であるという証拠が次々と示されており、MDアンダーソンの予備研究でも、患者は予防的卵管切除および後に卵巣切除を行う方法を受け入れ、満足していることが明らかになった。本研究はさらに、’予防的卵管切除後に卵巣切除を追加する方法(PSDO)’により性機能を保存し、更年期症状を避けられる傾向を示した。

 

この前向き研究には、30歳から47歳の患者44人が登録し、次の3つの選択肢から一つを選んだ。スクリーニング(12人)、リスク低減卵管卵巣切除(RRSO, 12人)、または予防的卵管切除の後に卵巣切除追加(PSDO)。スクリーニングとPSDOを選んだ患者は、6カ月ごとにCA-125測定と経膣超音波検査を行った。ベースライン測定時と12カ月の時点で、研究者は生活の質、性と更年期に関する質問調査を行った。

 

質問調査の点数は、PSDO群では変化がなかったのに対し、RRSO群では下がっていることが明らかになった。

 

「BRCA検査がより一般的になるにつれ、20代、30代の子どもを生むピーク年齢層の間で、生命を脅かす可能性のある遺伝子を持っているという事実を突然、つきつけられる女性が増えてくる」と、本研究の試験責任医師であり、婦人腫瘍および生殖医学科准教授のDenise Renee Nebgen医師は言う。「卵巣切除はがんのリスクを著しく低減するが、その代償も大きい。卵管切除はまだ標準的ケアではないが、代替的な方法になりつつある」。

 

今回の研究をもとに、MDアンダーソンはBRCAおよび卵巣がんのリスクを高めるその他の遺伝子変異を持つ女性300人を対象に、卵管切除とRRSOについて調べる多施設臨床試験を実施している。この研究は、卵巣がんドリーム・チームが資金提供する。

 

Nebgen医師は、これらの研究結果を6月7日、がん予防、遺伝学と疫学の口頭演題セッションで発表する(中部時間午前8時から午前11時)。

 

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片瀬ケイ 訳
原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)監修
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